奥沢の住宅

隙間の抜け/突き当たりの彩り

旗竿敷地に建つ住宅。四方を隣家に囲まれているが、最初に敷地を訪れた際、竿の部分や周囲の建物と建物の間にある「隙間」に魅力を感じた。奥まった場所から「隙間」越しに街を見通すのは案外心地よい。
「隙間」は家にも取り込んだ。各階の床の高さを少しだけずらしたり、階段沿いに少しだけ吹き抜けにすることにより、3階建ての家の上下や室内外を緩やかにつなぐ立体的な「隙間」をつくった。2階リビングダイニングから南側と北側の両方の空が、1階寝室から空が、2階キッチンから3階の子供部屋が垣間見える。
また、この住宅にはカラフルな「突き当たり」がある。建物は南北に細長く、日常生活はそこを行き来することになるが、南北の端部には隣家が迫っているため窓のない壁とした。そして、この「突き当たり」の壁には、クライアントの発案で赤、黄緑、青、黄と場所ごとに異なる彩りを与えることにした。カラフルな「突き当たり」は隣接させた窓やトップライトから光を受け、鮮やかに生活空間を包み込む。

竣工

2013年

構造規模

木造・地上3階

敷地面積

96.33m2

建築面積

44.71m2

延床面積

96.27m2

撮影

上田宏