HOUSING×NATURE

川沿いに緑化された大きな縁側をもつ、サービス付き高齢者集合住宅

計画地は西側に安治川が流れ、眺望が良いのが最大の魅力であった。一方、地盤面が低く、堤防を超える高潮や津波の可能性がゼロではないこと、倉庫などに囲まれたやや殺風景な環境であることが課題であった。この場所に、高齢者が安心して快適に暮らす環境を整備するために、2階以上に居住施設を配置し、川沿いに大きなバルコニーを設けることを提案した。バルコニーは上階に行くほど後退させ、先端に雨が当たるプランターを設える。1階は周囲に不足しているポケットパークとして地域に開放する。
つる植物などで緑化されたバルコニーは西日を和らげ、対岸からの視線を適度に遮るとともに、四季折々の植物で入居者を楽しませる。土いじりが好きな人が自分たちで植物を植えて、管理することもできる。緑化された立面は、川沿いの景観に潤いを与え地域のシンボルになる。
「コンクリートと木のコラボレーション」という設計課題に対しては、両者を対比的に捉えるのではなく、「コンクリート」を砂と石とセメントの混合物、「木」を土から生える樹木と材木の総体と捉え、その中間的な木毛セメント板やソイルセメントなどの混合材料も用いることで、コンクリートと木の境界を曖昧にしてゆくことを目指した。
 
2013年 日本建築学会近畿支部設計競技「コンクリートと木のコラボレーションによる持続可能な住まいと地域環境の設計」第3回 サービス付き高齢者集合住宅の設計 応募案